アイディのホームページへようこそ! アイディについて 採用情報 サイトマップ お問い合わせ Go to English version!
HOME 翻訳 通訳 イベント・会議 A & V 人材派遣・紹介 SCHOOL 通信教育



第87 回 (2015年2月号)
The Ratcatcher
「ねずみとりの男」 Roald Dahl

早川文庫『あなたに似た人』所載 田村隆一訳

by 柴田耕太郎


PDFデータ

1. 2008年4月上旬号
2. 2008年4月下旬号
3. 2008年5月上旬号
4. 2008年5月下旬号
5. 2008年6月上旬号
6. 2008年6月下旬号
7. 2008年7月上旬号
8. 2008年7月下旬号
9. 2008年9月上旬号
10. 2008年9月下旬号
11. 2008年10月上旬号
12. 2008年10月下旬号
13. 2008年11月上旬号
14. 2008年11月下旬号
15. 2008年12月上旬号
16. 2008年12月下旬号
17. 2009年1月上旬号
18. 2009年1月下旬号
19. 2009年2月上旬号
20. 2009年3月上下旬号
21. 2009年4月上旬号
22. 2009年4月下旬号
23. 2009年5月上旬号
24. 2009年5月下旬号
25. 2009年6月上旬号
26. 2009年6月下旬号
27. 2009年7月上旬号
28. 2009年7月下旬号
29. 2009年9月上旬号
30. 2009年9月下旬号
31. 2009年10月上旬号
32. 2009年10月下旬号
33. 2010年1月上旬号
34. 2010年1月下旬号
35. 2010年2月上旬号
36. 2010年2月下旬号
37. 2010年3月上旬号
38. 2010年3月下旬号
39. 2010年4月上旬号
40. 2010年4月下旬号
41. 2010年5月上旬号
42. 2010年5月下旬号
43. 2010年6月上旬号
44. 2010年6月下旬号
45. 2010年7月上旬号
46. 2010年7月下旬号
47. 2010年9月上旬号
48. 2010年9月下旬号
49. 2010年10月号
50. 2010年11月号
51. 2010年12月号
52. 2011年1月号
53. 2011年3月号
54. 2011年4月号
55. 2011年5月号
56. 2011年6月号
57. 2011年7月号
58. 2011年11月号
59. 2012年1月号
60. 2012年2月号
61. 2012年3月号
62. 2012年4月号
63. 2012年5月号
64. 2012年6月号
65. 2012年7月号
66. 2012年9月号
67. 2012年10月号
68. 2012年11月号
69. 2012年12月号
70. 2013年1月号
71. 2013年3月号
72. 2013年4月号
73. 2013年5月号
74. 2013年6月号
75. 2013年7月号
76. 2013年9月号
77. 2013年10月号
78. 2013年11月号
79. 2013年12月号
80. 2014年4月号
81. 2014年5月号
82. 2014年6月号
83. 2014年7月号
84. 2014年8月号
85. 2014年10月号
86. 2015年1月号
87. 2015年2月号
 
バックナンバー

1. 2008年4月上旬号
2. 2008年4月下旬号
3. 2008年5月上旬号
4. 2008年5月下旬号
5. 2008年6月上旬号
6. 2008年6月下旬号
7. 2008年7月上旬号
8. 2008年7月下旬号
9. 2008年9月上旬号
10. 2008年9月下旬号
11. 2008年10月上旬号
12. 2008年10月下旬号
13. 2008年11月上旬号
14. 2008年11月下旬号
15. 2008年12月上旬号
16. 2008年12月下旬号
17. 2009年1月上旬号
18. 2009年1月下旬号
19. 2009年2月上旬号
20. 2009年3月上下旬号
21. 2009年4月上旬号
22. 2009年4月下旬号
23. 2009年5月上旬号
24. 2009年5月下旬号
25. 2009年6月上旬号
26. 2009年6月下旬号
27. 2009年7月上旬号
28. 2009年7月下旬号
29. 2009年9月上旬号
30. 2009年9月下旬号
31. 2009年10月上旬号
32. 2009年10月下旬号
33. 2010年1月上旬号
34. 2010年1月下旬号
35. 2010年2月上旬号
36. 2010年2月下旬号
37. 2010年3月上旬号
38. 2010年3月下旬号
39. 2010年4月上旬号
40. 2010年4月下旬号
41. 2010年5月上旬号
42. 2010年5月下旬号
43. 2010年6月上旬号
44. 2010年6月下旬号
45. 2010年7月上旬号
46. 2010年7月下旬号
47. 2010年9月上旬号
48. 2010年9月下旬号
49. 2010年10月号
50. 2010年11月号
51. 2010年12月号
52. 2011年1月号
53. 2011年3月号
54. 2011年4月号
55. 2011年5月号
56. 2011年6月号
57. 2011年7月号
58. 2011年11月号
59. 2012年1月号
60. 2012年2月号
61. 2012年3月号
62. 2012年4月号
63. 2012年5月号
64. 2012年6月号
65. 2012年7月号
66. 2012年9月号
67. 2012年10月号
68. 2012年11月号
69. 2012年12月号
70. 2013年1月号
71. 2013年3月号
72. 2013年4月号
73. 2013年5月号
74. 2013年6月号
75. 2013年7月号
76. 2013年9月号
77. 2013年10月号
78. 2013年11月号
79. 2013年12月号
80. 2014年4月号
81. 2014年5月号
82. 2014年6月号
83. 2014年7月号
84. 2014年8月号
85. 2014年10月号
86. 2015年1月号
前リシーズのデータ
PDFデータ
1. 2007年1月上旬号
2. 2007年1月下旬号
3. 2007年2月上旬号
4. 2007年2月下旬号
5. 2007年3月上旬号
6. 2007年3月下旬号
7. 2007年4月上旬号
8. 2007年4月下旬号
9. 2007年5月上旬号
10. 2007年5月下旬号
11. 2007年6月上旬号
12. 2007年6月下旬号
13. 2007年7月上旬号
14. 2007年7月下旬号
15. 2007年9月上旬号
16. 2007年9月下旬号
17. 2007年10月上旬号
18. 2007年10月下旬号
19. 2007年11月上旬号
20. 2007年11月下旬号
21. 2007年12月上旬号
22. 2007年12月下旬号
23. 2008年1月上旬号
24. 2008年1月下旬号
25. 2008年2月上旬号
バックナンバー

1. 2007年1月上旬号
2. 2007年1月下旬号
3. 2007年2月上旬号
4. 2007年2月下旬号
5. 2007年3月上旬号
6. 2007年3月下旬号
7. 2007年4月上旬号
8. 2007年4月下旬号
9. 2007年5月上旬号
10. 2007年5月下旬号
11. 2007年6月上旬号
12. 2007年6月下旬号
13. 2007年7月上旬号
14. 2007年7月下旬号
15. 2007年9月上旬号
16. 2007年9月下旬号
17. 2007年10月上旬号
18. 2007年10月下旬号
19. 2007年11月上旬号
20. 2007年11月下旬号
21. 2007年12月上旬号
22. 2007年12月下旬号
23. 2008年1月上旬号
24. 2008年1月下旬号

 文法力をつけたいが、無味乾燥な文法書など読みたくない。
 そんな読者のために、人気小説の翻訳書に見る誤訳・悪訳をとりあげ、文法面から解説してゆく。題材は最近映画化された『チョコレート工場』の原作者で、日本がロケ地になった映画『007は二度死ぬ』の脚本家でもあるロアルド・ダール(Roald Dahl)の短編から任意に選ぶ。いずれも原文で10ページ程の短いものが中心だから、読者も自分で訳してみて、この解説を参考に市販訳との優劣を競ってみてはいかがだろうか。
 冒頭に誤りの種別と誤訳度を示したうえ、原文と邦訳、誤訳箇所を掲げます。どう間違っているのか見当をつけてから、解説を読んでください。パズルを解く気分で、楽しみながら英文法を学びましょう。
誤訳度: *** 致命的誤訳(原文を台無しにする)

** 欠陥的誤訳(原文の理解を損なう)

愛嬌的誤訳(誤差で許される範囲)
The Ratcatcher「ねずみとりの男」
(p389-p609)形容詞

その男は、するどい顔つきをしていて、やせこけて、陽にやけていた。上顎から硫黄色の歯がとび出していて、下唇とぶつかりあい、それを中の方へ押しこんでしまっている。
The man was lean and brown with a sharp face and two long sulphur-coloured teeth that protruded from the upper jaw, overlapping theb lower lip, pressing it inward.
[コメント]
「するどい顔つき」では刑事とかやくざをイメージしてしまう。a sharp face は、角ばった顔立ち。 lean は、悪い意味ではない。身が引き締まっていること。
修正訳:いかつい顔立ち、細身で

(p390-p609)代名詞

その、なにか人眼をさける瞳は、地面の穴から、いつもいつも用心深くのぞいては生きている、あの動物を思わせるものがあった。
The kind of dark furtive eyes he had were those of an animal that lives its life peering out cautiously and forever from a hole in the ground.
[コメント]
この those は、dark furtive eyes を指す。 直訳「…生きているある種の動物の眼」
修正訳:生きている動物を思わせるもの

(p392-p610)間投詞**

「下水の下のところにさ、いったい、どこにしかけると思ったんだ!」
そこにかい!」ねずみとりの男は勝ちほこって叫んだ。
‘Down the sewer. Where the hell you think I put it!’
There!’ the ratman cried, triumphant.

[コメント]
このthereは指示副詞ではなく、相手の発言を混ぜ返す、間投詞として使われている。
修正訳:これはしたり

(p393-p611)形容詞

そのアクセントは、クロウドのそれとよく似ていた。バッキンガムシャーの一地方にある、あの幅のひろい、やわらかなアクセントだ。でも、彼の声はもっと野太く、口の中で、もっとうるおいをふかめているかのようだった。
The accent was similar to Claud’s, the broad soft accent of the Buckinghamshire countryside, but his voice was more throaty, the words more fruity in his mouth.
[コメント]
この broad は、訛りの強い。soft は、軟音(csgdj のように発音される)ととるのがよいだろう。
例:speak English with a broad German accent ひどいドイツ訛りの英語を喋る
修正訳:音は軟らかだがきつい訛りだ

(p393-p611)副詞句***

「…。そいから、そいつを下水の上から吊っておくんだ。つまりね、水にぜんぜんふれないようにするんだ。わかるかい?水にふれないようにするんだぜ。しかもよ、ねずみがそれにとどかないように、高く吊るすんだ
‘… Then you suspend the bags from the roof of the sewer so they hang down not quite touchin’ the water. See? Not quite touchin’, and just high enough so a rat can reach ’em.’
[コメント]
soso thatの略形。enoughは副詞でso thatするに足る(たっぷりでなく充足を含意)だけ。 not quiteは部分否定「あまり触れない」
修正訳完全には水に浸からない水に浸からない 届くぎりぎりの高さに吊るすんだ

(p409-p614)イディオム

爪先でしずかにゆさぶりながら、二、三度身体を上下させ、ひめやかなやわらかい声で、こう言った、「なにか見たいかね?」
He raised himself up and down a few times on his toes, swaying gently, and in a voice soft and secretive, he said: ‘Want to see somethin’?’
[コメント]
raise oneself
は、伸びをする。up and down は、上下に。on ones toes は、爪先を支点(支え)にして。
修正訳:爪先立ちするように二、三度背伸びし、ゆるく体を揺すって

(p404-p616)比較級**

どうするつもりなの?」と、私はたずねた。前のやつと同じに見えるけど、私は、こいつがなんとなく好きになっていくような気がしたのである
‘What are you going to do?’ I asked. I had a feeling I was going to like this one even less than the last.
[コメント]
likeless と繋がることに注意。this one は、ねずみ男がこれからやろうとしていること。the last は、直前にやったねずみ殺し法。eventhan 以下も嫌だったがそれ以上に、の意。
修正訳:前のやり方も嫌だったが、こんどのはもっと気持ち悪そうな気がしたのである。

(p408-p618)動詞

男はねずみにのしかかり、顔を近づけた。そのあいだじゅう、眼はじっとねずみからはなれない。突然、ねずみは恐怖におそわれ、横っとびに宙へのがれようとした。
The man leaned forward towards the rat, following it with his face, watching it all the time with his eyes, and suddenly the rat panicked and leaped sideways in the air.
[コメント]
身体を前に傾けた、と言っている。
修正訳:身体を前に傾げ

(p409-p618)

ねずみはぴったりと、からだをボンネットにひっつかせ、身をこわばらせながら、恐怖にうちふるえている。ねずみとりの男も、緊張していたが、なにか一触則発の気をはらんでいて、まるでギリギリいっぱいのところまでおさえつけられているスプリングみたいだった。(抜け) 
それから、ドッと彼はぶつかった。
The rat was pressing its body flat against the car bonnet, tense and terrified. The ratman was also tense, but with a dangerous active tensity that was like a tight-wound spring. The shadow of a smile flickerd around the skin of his mouth.
Then suddenly he struck.

[コメント]
訳抜け
修正訳:微かな微笑みが一瞬口の周りに見えた気がした。

 


Copyright (C) 2006 ID Corporation. All Rights Reserved