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第63回 (5月号)
『簡単な任務』A Piece of Cake

(ロアルド・ダール作、早川書房刊『飛行士たちの話』所載。永井淳訳)
by 柴田耕太郎
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 さすがは大ベテラン、永井淳。ねちっこく見たが、誤訳も悪訳もほとんどない。しいて文句をいえば、文章のそっけなさが、物足りない。さっさかと筆を走らせ枚数を稼いでいる、の感がある。翻訳職人、マイスターといったところか。
 では、重箱の隅をつついてみよう(永井訳、原文、わたしのコメント、の順。本作品集は11の短編より成る)。
『簡単な任務』A Piece of Cake
(p55)
ブレヌム機の連中」
, where the Blenheim boys were helpful

コメント:
イギリスの双発軽爆撃機のこと。はじめはドイツ読みで「ブレンハイム」だったが、のちに英語読みで「ブレニム機」とされるのが普通。
(p55)
「出撃回数は多すぎたし、補充兵は送られてこなかった。」
They were having to go out too often, and there were no replacements coming along.

コメント:
補充兵でなく、補充のパイロットのこと「交代要員
(p56)
爆撃機の連中はふさぎこんでいる
そんなことはないさ」と、わたしは答えた。
「じゃあ、うんざりしているんだ
「違う。連中は疲れてるんだ。それだけだよ。しかし、連中は飛びつづけるだろう。…」
‘Bomber boys unhappy,’ Peter said.
Not unhappy,’ I answered.
‘Well, they’re browned off.’
‘No. They’ve had it, that’s all. But they’ll keep going. You can see they’re trying to keep going.’


コメント:
unhappybrowned offhave had it の意味はそれぞれ似たようなものだが、度重なる出 撃に嫌気がさしている。ここは会話が流れるように訳語を選びたい。
「爆撃機の連中は暗いな」とピータがいう。
そんなことないさ」とわたし。
「じゃ、機嫌が悪いんだ
「違う。うんざりしてる
んだよ。それだけさ。でも飛び続ける。飛び続けようとしているのがわかるだろ」
(p57)
「わけない仕事なんだよ」と、わたしはいった。
そうとも
‘Piece of cake,’ I said.
Like hell.’


コメント:
like hell はイディオムで「まさか」
「お茶の子、サイサイだ」と、わたしは言った。
とんでもない
(p59)
「命令は全身に、や腕や胴体のすべての筋肉に中継され、筋肉が行動を開始した。」
The order was relayed to the whole system, to all the muscles in the legs, arms and body, and the muscles went to work.

コメント:
ケアレスミスもたまにはご愛嬌。 「」→「
(p59)
「わたしのが命令を受けとって動きはじめた。」
My arms received the message and went to work.

コメント:
荒い手書きだと、脳と腕は同じに見える。和文校正のミスだろう。
「脳」→「腕」
また、すこし先の「わたしの脳が命令を受けとって動きはじめた。」の「脳」は「腕」のま ちがい。
(p60)
ピンが抜けてベルトがはずれた。さ、脱出するんだ。脱出するんだ。だが、それができない。操縦席から体を浮かせるのがやっとだった。」
Out came the pin and the straps were loosed. Now, let’s get out. Let’s get out, let’ get out. But I couldn’t do it. I simply couldn’t lift myself out of the cockpit.

コメント:
simply が、否定語の前で「絶対に」の意味となるのは、初等文法。永井淳のような大ベテ ランでも知らないことがあるのに、かえって安心。
「留め針がとれて、ベルトがはずれた。よし、脱出だ。脱出だ、脱出だ。でもできなかっ た。操縦席から体を持ち上げることが全然できなかった
(p66)
「なおも敵機は接近してきた。目の前にぐんぐん近づいてきて、見えるのはメッサーシュミットの機体の色と、青空をバックにくっきりと浮きあがった黒い鉤十字だけになった。」
Still they flew closer. They came nearer and nearer, right up in front of my face so that I saw only the black crosses which stood out brightly against the colour of the Messerschmitts and against the blue of the sky;

コメント:
読点の打ちかたが悪い。「機体の色」と「鉤十字」が並列するのでなく、「機体の色、青い 空」に対し「鉤十字」が映えているのだ。
だが敵機は接近してきた。目の前までぐんぐん近づいてきた。機体の色と空の青さに映 えて、黒いカギ十字だけが浮かびあがって見えた
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