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8月は予告なくお休みいただきました。申し訳ありません。 今回は『ローヤル・ジェリイ』の、表現があやしい部分をとりあげます。
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ローヤル・ジェリイ
[ストーリー]
アルバート・テイラーは若き養蜂家。子宝に恵まれたばかりだが、その乳飲み児の娘の食が細くて、妻ともどもとても心配している。アルバートの案じた一計で、目出度く娘の食欲を回復させることができた。ローヤル・ジェリイを大量に飲ませたのだ。これで一安心と喜んだのも束の間、よくよく見ると、乳児であるはずの娘は、女王蜂さながらに変身中!?…。 |
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●表現: |
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She lifted the bottle out of the saucepan of hot water and shook a few drops of milk on to the inside of her wrist, testing for temperature.
彼女はお湯の入っているシチューなべから、壜をとりだすと、二、三滴ミルクをふりだして、手首の内側にかけ、熱さをみた。
[解説]
「振って中から出す」のが「ふりだす」の意味だから、よさそうな気になるが、これはコロケーション(言葉と言葉の親和性)の問題。「ふりだす」だと、ずいぶん力が加わる感じだし、対象が固形物のようだ。例:瓶から味の素をふりだし…。
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But the mother said it was a gift given him by God, and even went so far as to compare him with St Francis and the birds.
けれども、母親は、これはこの子が神からもらったさずかりものだといい、彼を聖フランシスと小鳥たちにたとえたりまでしたのだった。
[解説]
この compare A with B は、「喩える」より「比較する」のほうがよいだろう。慈愛あふれる人柄から、説教に小鳥までもが集まってきたという、イタリアはアッシジの聖フランチェスコ(名前は現地語読みとする)と小鳥の親密さを、若き養蜂家ロバートと蜂の親密さと比べたのだ。
修正訳 |
彼を小鳥に好かれる聖フランチェスコと比べたりもするのだった。 |
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‘And we just finished the last feed ten minutes ago...’
「それで、十分ほど前に最後のお乳を終ったところだ。…」
[解説]
「最後の」では、もうお乳は永久にあげないみたいだ。「直近の」の意味がはっきりわかるように訳す。
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‘It’s curing her, isn’t it?’
‘
I’m not so sure about that, now.’
「あの子は元気になったじゃないか、そうだろ?」
「それがもう、何だかあやしい気持ちになってきたわ」
[解説]
「あやしい気持ち」では、気分が危険なほうへ傾くみたいだ。 be sure about は、…を確信する。赤ん坊が本当に元気になったのかどうか、わからなくなったといっている。
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‘Don’t be a fool, Albert! You think it’s normal for a child to start putting on weight at this speed?’
「へんなこといわないで、アルバート!こんなに、体重をふやして、それで子供には正常だと思っているの?」
[解説] 主語がねじれている。体重を増やしたのは、子供。「それで」は、前の節を受けにくい。
修正訳 |
子供がこんなに体重を増やすことが、あっておかしくないって思ってるの? |
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