アイディのホームページへようこそ! アイディについて 採用情報 サイトマップ お問い合わせ Go to English version!
HOME 翻訳 通訳 イベント・会議 A & V 人材派遣・紹介 SCHOOL 通信教育

第52回 (1月号)
『英文解釈教室 ご質問に答えて』
by 柴田耕太郎
PDFデータ
1. 2008年4月上旬号
2. 2008年4月下旬号
3. 2008年5月上旬号
4. 2008年5月下旬号
5. 2008年6月上旬号
6. 2008年6月下旬号
7. 2008年7月上旬号
8. 2008年7月下旬号
9. 2008年9月上旬号
10. 2008年9月下旬号
11. 2008年10月上旬号
12. 2008年10月下旬号
13. 2008年11月上旬号
14. 2008年11月下旬号
15. 2008年12月上旬号
16. 2008年12月下旬号
17. 2009年1月上旬号
18. 2009年1月下旬号
19. 2009年2月上旬号
20. 2009年3月上下旬号
21. 2009年4月上旬号
22. 2009年4月下旬号
23. 2009年5月上旬号
24. 2009年5月下旬号
25. 2009年6月上旬号
26. 2009年6月下旬号
27. 2009年7月上旬号
28. 2009年7月下旬号
29. 2009年9月上旬号
30. 2009年9月下旬号
31. 2009年10月上旬号
32. 2009年10月下旬号
33. 2010年1月上旬号
34. 2010年1月下旬号
35. 2010年2月上旬号
36. 2010年2月下旬号
37. 2010年3月上旬号
38. 2010年3月下旬号
39. 2010年4月上旬号
40. 2010年4月下旬号
41. 2010年5月上旬号
42. 2010年5月下旬号
43. 2010年6月上旬号
44. 2010年6月下旬号
45. 2010年7月上旬号
46. 2010年7月下旬号
47. 2010年9月上旬号
48. 2010年9月下旬号
49. 2010年10月号
50. 2010年11月号
51. 2010年12月号
52. 2011年1月号
バックナンバー
1. 2008年4月上旬号
2. 2008年4月下旬号
3. 2008年5月上旬号
4. 2008年5月下旬号
5. 2008年6月上旬号
6. 2008年6月下旬号
7. 2008年7月上旬号
8. 2008年7月下旬号
9. 2008年9月上旬号
10. 2008年9月下旬号
11. 2008年10月上旬号
12. 2008年10月下旬号
13. 2008年11月上旬号
14. 2008年11月下旬号
15. 2008年12月上旬号
16. 2008年12月下旬号
17. 2009年1月上旬号
18. 2009年1月下旬号
19. 2009年2月上旬号
20. 2009年3月上下旬号
21. 2009年4月上旬号
22. 2009年4月下旬号
23. 2009年5月上旬号
24. 2009年5月下旬号
25. 2009年6月上旬号
26. 2009年6月下旬号
27. 2009年7月上旬号
28. 2009年7月下旬号
29. 2009年9月上旬号
30. 2009年9月下旬号
31. 2009年10月上旬号
32. 2009年10月下旬号
33. 2010年1月上旬号
34. 2010年1月下旬号
35. 2010年2月上旬号
36. 2010年2月下旬号
37. 2010年3月上旬号
38. 2010年3月下旬号
39. 2010年4月上旬号
40. 2010年4月下旬号
41. 2010年5月上旬号
42. 2010年5月下旬号
43. 2010年6月上旬号
44. 2010年6月下旬号
45. 2010年7月上旬号
46. 2010年7月下旬号
47. 2010年9月上旬号
48. 2010年9月下旬号
49. 2010年10月号
50. 2010年11月号
51. 2010年12月号
前リシーズのデータ
PDFデータ
1. 2007年1月上旬号
2. 2007年1月下旬号
3. 2007年2月上旬号
4. 2007年2月下旬号
5. 2007年3月上旬号
6. 2007年3月下旬号
7. 2007年4月上旬号
8. 2007年4月下旬号
9. 2007年5月上旬号
10. 2007年5月下旬号
11. 2007年6月上旬号
12. 2007年6月下旬号
13. 2007年7月上旬号
14. 2007年7月下旬号
15. 2007年9月上旬号
16. 2007年9月下旬号
17. 2007年10月上旬号
18. 2007年10月下旬号
19. 2007年11月上旬号
20. 2007年11月下旬号
21. 2007年12月上旬号
22. 2007年12月下旬号
23. 2008年1月上旬号
24. 2008年1月下旬号
25. 2008年2月上旬号
バックナンバー
1. 2007年1月上旬号
2. 2007年1月下旬号
3. 2007年2月上旬号
4. 2007年2月下旬号
5. 2007年3月上旬号
6. 2007年3月下旬号
7. 2007年4月上旬号
8. 2007年4月下旬号
9. 2007年5月上旬号
10. 2007年5月下旬号
11. 2007年6月上旬号
12. 2007年6月下旬号
13. 2007年7月上旬号
14. 2007年7月下旬号
15. 2007年9月上旬号
16. 2007年9月下旬号
17. 2007年10月上旬号
18. 2007年10月下旬号
19. 2007年11月上旬号
20. 2007年11月下旬号
21. 2007年12月上旬号
22. 2007年12月下旬号
23. 2008年1月上旬号
24. 2008年1月下旬号
 今回は、本連載の姉妹編「アイディ英文教室 月例翻訳批評」の第2回『英文解釈教室』(研究社、伊藤和夫)その2の「3.4 例題(2)」の解説につきご質問があったので、それに答えることとしよう。
 まず、英語原文、伊藤訳、柴田の解説を掲げる
It is now almost a century since a literate woman was sufficiently a curiosity to have the fact of her sex noted every time her literary activities were mentioned, and so authoress is going out of use. No one could have foreseen, fifty years ago, that women were soon to do so much that men had thought they alone could do that to attempt to call attention to it would burden the language.

[伊藤訳]
 学問のある女性が非常に珍しい存在だったので、その文学活動が話題になるたびに女性であるという事実が注目を浴びた時代からもうおよそ100年もたっており、したがって「女流作家」という語は使われなくなろうとしている。男にしかできないと男が考えていたことのうち多くを女性がまもなくするようになるため、その事実に注意をひこうとすれば言葉に無用の負担をおわせることになるとは、50年前には誰も予想できなかっただろう。

[柴田の解説]
「ことのうち多くを」誤訳:
 直訳は「
男だけができるものと男が(自分勝手に)思っていた多くのことを」。
much (名詞:たくさんのもの)の或る部分でなく、much 全体を言っている。
「男にはたくさんのことができる」→(1)「そのたくさんのうち多くは女もできる」(2)「そのたくさんそのものを女ができる」、のうち(2)。

柴田の修正訳:
男にしかできないと男が考えていた多くのことを女性がするようになって、女を強調するのは言葉に無用の負担を負わせることになるだけだとは、50年前でも誰も予想できなかっただろう。

 次に、読者Wさん(ありがとうございます。読んでくれている方がいるなんて!)からの質問(原文ママ、下線は柴田がつけた)を掲げます

 柴田先生による構文解析では、最後の
that 節「that to attempt to call attention to it would burden the language」をこの文中でどのように位置づけておられるのでしょうか* (質問1)。修正訳「男にしかできないと男が考えていた多くのことを女性がするようになって、女を強調するのは言葉に無用の負担をおわせることになるだけだとは、50年前でも誰も予想できなかっただろう。」からは、よく分かりません。修正訳からは「forsee」の目的語となる名詞節(従って、その前の that woman ...で始まる名詞節と並置されている)と解釈されたとも想像できますが、この英文の解釈としては無理があるように思えます**。
 伊藤先生の訳からも、あまりはっきりしたことは読み取れませんが、伊藤先生は「
so much... that to attempt ...」のように so that を対応させて構文解析されたようにも思われます。このような解釈は可能でしょうか**(質問2)。「woman were soon to do much that men had thought they alone could do」との言い方は可能と思われますので、この「much」の程度を「sothat」で説明することも可能と思われます。この解釈を前面に押し出して訳すと、次のようになります。
 「男が自分達にしかできないと考えていたことの中で、女にもできると強調するのが言語の負担になるほど多くのことを女性がすぐするようになるとは、50年前でも誰も予想できなかっただろう。」あるいは、「男が自分達にしかできないと考えていたことの内あまりに多くのことを女性がすぐにするようになったので、女を強調するのが言語の負担になるとは、50年前でも誰も予想できなかっただろう。」***
 このような解釈の結果、伊藤先生は
「ことのうち多くを」の解釈として(1)のケースを取られたようにも思われます。
 以上二つの質問にご教示頂ければ幸いです。

 そこで、以下「柴田の補足」を加える。

 英文下線部の辺りを分解してみる(多少不自然な英語となるのはご承知あれ)。
No one could have forseen(, fifty years ago,) [that women were soon to do so much* {that (men had thought) they alone could do} that to attempt to call attention to it would burden the language].
 S V, M, O[S’ were to do so N (or Adv) {(s v) s v} that to do n would do n’]  (Mは修飾語)
*
much は、that 以下に修飾される名詞、sothat の連語内の副詞、の二つの役割をしている。 

Women were soon to do so much.
(女はじきにとても多くすることになる:so は副詞、much は副詞)

Men had thought that they alone could do much.
(男は自分たちだけが多くのことをできると思っていた:much は名詞)

Women were soon to do so much (M) that to attempt to call attention to it* would burden the language.
(前から訳し:女はじきに多くのことをやるようになるため、女であること(it)に注意を向けるのは言語に負担をかけることになってしまう 後から返り:女であること(it)に注意を向けるのは言語に負担をかけてことになってしまうほど、女は多くをやるようになる;much は名詞的、much は副詞的、に読める。つまりこの much は、副詞と名詞の両性具有ということになる。)
*
it は「文中で問題になっていることがら」、ここでは「女を強調すること」を指す。

 「多く」(副詞)と「多くのこと」(名詞)が絡まっているので解釈が混乱する原因だが、
much that 以下で限定されていることからして名詞としての解釈を優先させるべきだろう。つまり「(女性がやれるようになる)多くのこと」A= 「(男が自分たちだけができると思っていた)多くのこと」B。伊藤訳はB>Aと取れるのでのよくない。

 そして、私
柴田のお答えです。

 「柴田の補足」部分で、ご理解いただけたと思うが、念のため。
* (so 〜 なので) to A(do) することにしたら、to B(do)することになってしまう。
** 私もso that と取っています。原文の痕跡を残すため「多くのこと」としたのですが、訳文だけ読むと分かりにくいかもしれません。原文と対照させなくてよければ、「多くの」は省いてよいでしょう(文脈から、男がいろいろやってきたと読めるため)
*** 「男にできること(たくさんある)」=「女にできること」です。
Copyright (C) 2006 ID Corporation. All Rights Reserved